相次ぐ大企業の不祥事。ここでは、具体的な企業名は明記しませんが、2023年も様々な大企業が不祥事を起こしまし。
その大半が、ものづくり大国日本を支えてきた製造業からだというので、さらに驚きですよね。
「日本の製品は安全だ!」はもう過去のものになりつつあるのではないかと思います。
中国も、ものづくりの品質を徐々に世界レベルに上げてきています。では、なぜ日本の大企業の不祥事は起こるのか?
その辺を多角的な分析していきたいと思います。
いき過ぎた守る文化
最初は、守る文化という視点からです。守るとは、
- ルール
- 納期
- 品質
- 性能
- 安全
などであり、1つの製品へ要求される「守る」はこれだけあります。
これを守れないと、製品を市場に売り出すことはできず、企業も利益を上げられません。そういう意味では必要な概念なのですが、
これが行き過ぎると、「守れない=悪だ!」というような、イデオロギーが組織に形成されてしまいます。
これは上司、同僚、会社から直接、叱責されるということではなく、なんとなくの空気感、無意識に組み込まれた暗黙の了解のような価値観です。
特に最近の開発環境は、過当競争の影響もあり、効率化、手戻り禁止、など制約条件が年々厳しくなっているため
この無意識に刷り込まれる「守れない=悪だ!」という価値観は年々強くなっていっているのではないでしょか?
その結果、手戻りをなくし、スムーズに製品を市場に送り出すため、試験データの改ざん、試験条件のすり替えなどが起こるのではないでしょうか。
ものづくりファースト
次は、ものづくりファースです。日本は自国に資源がないため、世界に価値を提供するためには、技術力しかありません。
そういった背景もあり、技術力で製品価値をいかに上げるかを頑張ってきましたが、
世界と日本の技術力が拮抗してしまい、技術力だけでは製品の価値を維持できなくなってきました。
そのため、掲げる目標に対して技術が追いつかないという現象が発生し、データ改ざんという結果に至ったのではないではないでしょうか。
チームプレーの複雑化
近年では、製品システムの複雑化に伴い、開発、製造のシステムも複雑化しています。
効率という言葉は、一見シンプルに物事を進めるようなイメージを抱きますが、
実際は効率化を実現するためには、効率化を維持するためのシステムが必要になり、そこにも人を動員しなければなりません。
そのように、システムを維持するためのシステムが必要となり、さらにまた別のシステムが必要になったりと、
雪だるま式に組織が増えていきます。これにより部門感のコミュニケーションが複雑になり、製品開発の難易度が上がった結果、
不祥事に繋がったのだととも言えます。
まとめ
ものづくりは、価値観、組織文化、システム、技術、など様々な要素が複雑に絡まり合うことによって実現されています。
社会が進むことは良いことだというのが、近代以降の価値観ですが、進み過ぎた社会は逆に人間を苦しめているようにも思います。
スマホの登場によって、人々の暮らしは便利になりましたが、楽にはなっていないように。
技術を進歩させることが果たしていいことかどうか、考える時が来ているのかもしれません。
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